1 幼少期
現在私は、マッサージや鍼灸で体に何かしら症状を抱えている患者さんを施術していますが、実は私も生まれつき足に不具合を持って生まれてきました。
内反尖足といって足首が伸びて内股になってしまっている状態、つまりずっと内股で背伸びしたままそれ以上足首が曲がらない状態だったのです。
その為、物心がつくまえから定期的に大きな病院で治療をしていました。
足首が曲がらないせいで、しゃがんでも踵が地面に着かなかったり走る時に変な走り方(よくペンギンみたいと言われていました(笑))になっていましたが、私にとってはそれが普通だったため特に不便を感じることはありませんでした(今振り返ると、その足首のせいで内股のペタペタ歩きで偏平足になり、疲れやすい足になっていったのですが・・・)。
親は熱心に少し離れた大きな病院に連れて行ってくれていたのですが、小さい私にとって病院は決して楽しい場所ではなくむしろ気持ちを憂鬱にさせる場所でした。
しかし、そんな気の進まない所でも嫌がらず通えたのは、とにかく担当の先生が優しかったのです。
だいぶ昔の事ですが、仏のような笑顔でいつも私を診察して下さっていたのを今でも覚えています。
小さいながら、「こういう人を安心させるようなお仕事って良いなぁ」と思いました。
また、丁寧に足を診察し、歩いただけで足の状態を把握してくれてすごい!とも思いました。
そして密かに、人の体を治療する仕事に興味を持つようになりました。
大学になり将来どの道に進むか真剣に考えた時、「マッサージ師になって人の体を治す仕事をしたい」と思ったのは必然だったのだと思います。
2 仕事で直面した問題
鍼灸マッサージ師の資格を持ってから働き始めてからは、患者さんにマッサージを「気持ち良い」と喜んでもらったり「痛みが取れた」と感謝してもらえるのが嬉しく、仕事はとても充実していました。
しかしそのうち、いくら痛みの出ている原因の筋肉をほぐしても、その時は良くなるけどまた同じ症状で戻ってきてしまうことに気付きました。
原因の筋肉は分かっているしちゃんと施術しているのに・・・と悩んでいたところ、当時の勤務先の社長から「いくらマッサージや鍼で原因の筋肉の緊張を緩和してその場で良くなったとしても、同じ生活をしていれば必ず同じ症状で戻ってくるよ。
その患者さんがもうその症状にならないようにするのが本当の治療だよ。」と言われました。
そこで私は、今まで症状に対しての改善策ばかり考えていたことに気付きました。そして本当の原因である生活習慣を改善しない限り根本的な改善にはならないのだという考え方に思い至りました。
しかし、そう思っていても生活習慣病を変えることは中々難しいことです。
どう変えればいいのか、患者さんに何を伝えれば本当の改善につながるのか・・・中々腑に落ちたものを自分の中に見出せないまま悩みながら仕事をしていました。
3 ゆるかかと歩きとの出会い
ある日、勤務先の院長から「ゆるかかと歩き」の講習会をご紹介いただきました。
初めは単純に“外反母趾の治療をしたい”という軽い思いで講習会に行くことにしました。
しかしいざ講習会に参加してみると、その内容は歩き方の改善で外反母趾を治すという目から鱗の治療法でした。
しかも、勤務先の院長の外反母趾も歩き方の改善だけで治ったというのです。
外反母趾はダメな歩き方のせいでつま先に負担がかかり起きている症状なので、歩き方を改善すれば自然と外反母趾も治るというメカニズムを聞き、それは理にかなった自然なことだととても納得しました。
そして、これこそが私がずっと悩んでいた「生活習慣病の本当の治し方」だということに気付きました。
今まで担当した患者さんで繰り返し症状を再発させる方も、日々の生活の中でやっていることを変えてもらうことが必要なんだと分かったのです。
そして、その中で最も重要なものの一つが「歩き方」だったのです。
4 皆様へ
恥ずかしながら、今まで先天的に問題のある自分の足に関して何もしてきませんでした。
しかし、ゆるかかと歩きを実践してみて本当に歩くのが楽なのです。
私の場合は歩く時に痛みが出るわけでもないので自分の歩行に全く無関心でしたが、今までけっこう頑張って歩いていたのだと気づきました。
先天的な足の不具合にプラスして、染みついてしまった歩き方の変な癖が自分自身を苦しめていたのです。
症状の無い私ですらここまで違いを感じるのですから、外反母趾で苦しんでいる多くの方がこの歩き方を知れば、多くの方の手助けになるのではないか。
そして何より、私は「ゆるかかと歩き」を実践してみて歩くことを“楽しい”と感じました。
外反母趾で歩くのが辛いという方に、歩くことを楽に感じ、また歩く楽しさを味わっていただきたい、そしてそれを実践させる為に誠心誠意を込めて皆さんにこの方法を伝えていきたい!そういう思いで毎日頑張っています。